忍者の武器といえば、誰もが真っ先に「手裏剣」を思い浮かべるでしょう。しかし、当時の忍びにとって、手裏剣は敵をなぎ倒すためのメインウェポンではありませんでした。
実際の手裏剣は、重くてかさばり、急所に当たらなければ致命傷を与えるのは難しい道具です。では、なぜ忍びは手裏剣を隠し持っていたのでしょうか?
そこには、「戦わずして生き延びる」という忍びの本質に基づいた、極めて合理的な理由がありました。本記事では、知られざる手裏剣の「真の用途」と、その驚くべき知略について紐解きます。
手裏剣の主な用途
| 用途分類 | 史実に基づく実際の役割 | フィクションでのイメージ |
|---|---|---|
| 攪乱(かくらん) | 音を立てて注意をそらす、敵の動きを止める、逃走の時間を稼ぐために使用。 | 敵に向かって大量に投げつけ、攻撃の主力として使う。 |
| 牽制(けんせい) | 相手に距離を取らせる、追跡を遅らせるための補助具として活用。 | 一撃で敵を倒す暗殺武器として描かれる。 |
| 負傷目的 | 致命傷ではなく、手足に当てて動きを鈍らせる程度の軽傷を狙う。 | 胸や頭に命中して即死させる武器として扱われる。 |
| 道具としての使用 | 壁に刺して足場にする、火打ち石代わりに使うなど、多用途の作業具としても機能。 | 純粋な戦闘用の武器としてのみ描かれる。 |
| 携帯性 | 軽量で携帯しやすく、潜入・逃走時の補助具として最適。 | 無尽蔵に投げ続ける派手な武器として表現される。 |
必殺ではなく「攪乱」:手裏剣の五つの役割
史料や伝承から見える、手裏剣の本来の使い道は以下の通りです。
- 注意をそらす(攪乱): 敵の顔付近に投げ、一瞬の隙や怯みを作り、その隙に逃走または接近する。
- 追跡を遅らせる(足止め): 逃走経路に投げ、追手に怪我を負わせる、あるいは警戒させて速度を落とさせる。
- 道具として代用する: 扉の隙間に差し込む、穴を掘る、火打ち石の代わりに使うなど、サバイバルツールとして活用。
- 心理的な圧迫: 「どこから飛んでくるかわからない」という恐怖を植え付け、敵の士気を削ぐ。
- 毒の塗布: 刃先に毒を塗り、かすり傷からじわじわと体力を奪う。
手裏剣の種類と特徴
形状に見る忍びの工夫:平打ちと棒
手裏剣には大きく分けて二つの形があり、それぞれ用途や携帯性が異なりました。
- 平打ち(ひらうち)手裏剣: 星型や十字型など、回転させて投げるタイプ。殺傷能力よりも、刺さった際の痛みや、視覚的な恐怖を与えることに長けています。
- 棒(ぼう)手裏剣: 現代のペンのような形状。隠し持ちやすく、時には釘や錐(きり)の代わりとして、潜入時の道具にも転用されました。
忍者はこれらの形状を任務に応じて使い分け、状況を有利に運ぶための「補助具」として活用していたのです。
| 項目 | 創作の手裏剣 | 実際の手裏剣 |
| 目的 | 殺傷・必殺技として使う | 攪乱・牽制・間合い作りなどの補助 |
| 形状 | 星型が中心でデザイン重視 | 棒手裏剣が主流で実用重視 |
| 使用場面 | 戦闘の主役として多用 | 刀や槍などの補助で限定的に使用 |
| 携帯方法 | 大量に装備した描写が多い | 数本のみを必要最低限持ち歩く |
手裏剣は、、、
手裏剣は「敵を倒す武器」というよりも、任務を成功させるための補助道具(ツール)でした。手裏剣は“忍者の象徴”ではあるが、実戦では補助的な道具であり、誤解されやすい存在である。